ブロッコリー・カリフラワー栽培ワンポイントアドバイス
※栽培する地域や天候の状況により入荷時期・植え付け時期は多少前後します。
以外と多い?ブロッコリー・カリフラワーの仲間
ブロッコリーは品種そのものが多くはありませんが、変わり種が多くバラエティに富んでいます。また、カリフラワーは外見や中身は大きく変わりませんがそこそこ品種は多く、野菜とは思えない鮮やかな色や美しい模様で育てる・食べる楽しみをかきたてる品種が多く存在します。ともに種まき時期や用途、難易度で自分にあったものを選ぶようにしましょう。
—— ブロッコリーの種類 ——-
■ ブロッコリー
オーソドックスなブロッコリー。やや甘みがあって歯ごたえがあり、様々な料理に合います。このタイプが一番品種が多く、育てやすいもの、肉厚のものなど自分の用途にあった品種を選びましょう。
■ 茎ブロッコリー
スティック状のブロッコリーで花蕾の部分だけでなく、茎の部分も食べられるのが大きな特徴です。近年開発された品種で通常のブロッコリーより暑さに強く、初心者でも比較的育てやすい。また変わり種が多いのも特徴です。
■ ブロッコリースプラウト
直訳すると「ブロッコリーの新芽」。カイワレ大根のような食感と味で栄養価も高い。登場時はアメリカで一大ブームとなったほど。どのブロッコリーの種でも良いというわけではなく、専用品種を使いましょう。また、育て方は通常のブロッコリーとは異なり、カイワレ大根のように水耕栽培となります。
—— カリフラワーの種類 ——-
■ 白色カリフラワー
通常カリフラワー、といえば白色カリフラワーのことを指します。ブロッコリー同様にこのタイプが一番品種が多く、育てやすいもの、肉厚のものなど自分の用途にあった品種を選びましょう。
■ オレンジカリフラワー
綺麗なオレンジ色のカリフラワー。通常のカリフラワーよりβカロチンを多く含んでいるのが特徴。茹でても鮮やかなオレンジはそのまま残るので、サラダの彩りなどに最適です。食感は通常のものと変わりません。
■ 紫カリフラワー
鮮やかな紫はアントシアニンによるもの。加熱すると色素が流出して真っ青になります。また、酸に反応し変色する性質を持ち、ドレッシングをかけると赤く変色したり…鮮やかな変化は一見の価値アリです。
■ ロマネスコ
日本ではあまりお目にかかれませんが、ブロッコリーとカリフラワーを掛け合わせて作られた、と言われておりフラタクル状の花蕾が芸術的なカリフラワーです。味はブロッコリーに近く、食感はカリフラワーに近いそうでまさに中間。どう調理していものか困りそうな外見をしていますが、ブロッコリーカリフラワーと同じように扱って大丈夫です。ちなみに立派なフラタクル状に仕上げるのが難しいため、中級者向け。ぜひ2年目はこれにチャレンジしてみましょう。
「花芽分化」と「トウ立ち」
「トウ」は花を咲かせる茎のことで、花茎が伸びることを「トウ立ち」と言います。「花芽分化」は葉や茎を形成したいた部分が花に分化していく現象です。ブロッコリーとカリフラワーはトウ立ちをした蕾(花蕾)を利用する野菜です。したがって生長点が花芽分化をして、蕾を形成する必要があります。
ブロッコリーの花
栄養生長(茎葉の発育)を十分経過して、一定の大きさに達した苗がある期間連続して低温にあうと花芽分化し生殖生長に移行します。その後花蕾を形成、肥大します。この低温感応する苗の大きさと温度は品種によって異なり、低温遭遇期間も品種間差があります。一般に晩生種になるにつれ、大きな株(栄養生長)で、より低い温度に長くさらされることが必要となります。
カリフラワーの花
■ ブロッコリーの花芽分化条件と収穫までの日数
早晩生 | 展開葉数 | 茎の太さ | 気温 | 低温遭遇日数 |
---|---|---|---|---|
極早生 | 7〜8枚 | 3㎜以上 | 22〜23℃以下 | 4週間前後 |
早 生 | 7〜8枚 | 3㎜以上 | 20〜23℃以下 | 4週間前後 |
中早生 | 8〜10枚 | 6㎜以上 | 16〜20℃以下 | 4〜5週間前後 |
中 生 | 10〜12枚 | 6㎜以上 | 15〜18℃以下 | 5週間前後 |
中晩生 | 12〜15枚 | 6㎜以上 | 8〜10℃以下 | 5〜6週間前後 |
■ カリフラワーの花芽分化条件と収穫までの日数
早晩生 | 展開葉数 | 茎の太さ | 気温 | 低温遭遇日数 |
---|---|---|---|---|
極早生 | 5〜6枚 | 4〜5㎜以上 | 21〜25℃以下 | 2〜4週間前後 |
早 生 | 6〜7枚 | 5〜6㎜以上 | 17〜20℃以下 | 3〜4週間前後 |
中 生 | 11〜12枚 | 7〜8㎜以上 | 13〜17℃以下 | 6〜8週間前後 |
中晩生 | 15枚以上 | 10㎜以上 | 8〜10℃以下 | 8〜10週間前後 |
異常花蕾について
何らかの原因で花蕾がうまく形成できなくなる現象を異常花蕾と言います。花蕾の形が崩れる現象が多く、食べるにあたって問題はないものがほとんどですが、病気ではないので薬剤などで防ぐことができません。多くは花芽分化はがうまくできないことで発生するので、収穫時期を見越した正しい種まきの時期を守ることなど温度をしっかりコントロールすることが必要です。異常気象など天候の関係で発生することもあります。
■ ブロッコリーの異常花蕾
種 類 | 症 状 | 原 因 |
---|---|---|
ボトニング | 花蕾肥大に必要な葉数を 確保する前に花芽分化し、 結果的に小花蕾となります。 | 低温、活着不良、肥切れ、根傷み |
リーフィー | 生殖生長が途中で停止し 栄養生長に逆戻りした結果、 花蕾の間に葉が発生します。 | 花芽分化期の低温不足、 花蕾肥大期の高温、チッソ過多 |
不整形花蕾 | 花蕾面の蕾の発育が 不均一で、花蕾面が凹凸したり、 着色が不均一になります。 | 活着不良、チッソ過多、高温条件 |
ブラウンビーズ | 花蕾肥大期にストレスを 受け、蕾が枯死し、褐変します。 | 高温・乾燥、強日照、収穫遅れ |
キャッツアイ | 花蕾粒の不揃い。小花蕾の中央の 蕾が小さく猫の目状となります。 | ボトニングと関係が深い、 花蕾の厚さが薄くなるほど目立つ |
■ カリフラワーの異常花蕾
種 類 | 症 状 | 原 因 |
---|---|---|
ボトニング | 花蕾肥大に必要な葉数を 確保する前に花芽分化し、 結果的に小花蕾となります。 | 低温、活着不良、肥切れ、根傷み |
リーフィー | 生殖生長が途中で停止し 栄養生長に逆戻りした結果、 花蕾の間に葉が発生します。 | 花芽分化期の低温不足、 花蕾肥大期の高温、チッソ過多 |
ヒュージー | 花蕾形成の比較的後期に高温条件に 遭遇。極小さな苞葉が表面に出ます。 | 活着不良、チッソ過多、高温条件 |
ライシー | 花蕾肥大期に個々の蕾が発達 して花蕾の表面に飛び出します。 | 低温 |
ブラインド | 生長点の生育が座止し、そこから 苞のような葉を形成します。 | 高温条件、凍害 |
病害虫について
ブロッコリー・カリフラワーは共にキャベツの仲間というだけあって、害虫が発生しやすいので防虫ネットや薬剤などで事前に予防するか、見つけたら即駆除することが必要です。特にカリフラワーは甘く特に害虫がつきやすいので要注意です。
■アオムシ
ご存知モンシロチョウの幼虫です。キャベツ畑といえばモンシロチョウのイメージを思い浮かべる人も多いと思いますが、アブラナ科の植物にとって天敵です。放っておくと葉をほとんど食べられてしまいます。防虫ネットで事前に対策する、見つけたら薬剤で対策するなど。キク科の植物をコンパニオンプランツとして両端におくのも有効です。
■コナガ
アオムシ同様によく発生する蛾の幼虫。野菜害虫の中でも予防が困難とされている厄介な害虫です。アオムシより小さいことと、葉表を残して葉の裏側から侵食してくるので発見しにくいのが特徴です。アオムシ同様、防虫ネットで事前に対策する、見つけたら薬剤で対策するなどが必要です。
■アブラムシ
発生すると大量に繁殖し植物が弱ると同時に病気にかかりやすくなります。どんどん増えていくので、みつけたら薬剤などで即駆除しましょう。また、予防のために肥料をやりすぎないこと、水分を十分に与え乾きすぎないことがポイントです。
■ヨトウムシ
夜間に活動して葉を食害する蛾の幼虫。出現すると葉を食い荒らします。アオムシ同様、防虫ネットで事前に対策する、見つけたら薬剤で対策するなどが必要です。